パリのアールデコの隠れた宝石を探る
どんな話なの
パリは、アール・デコ建築の宝庫として世界的に知られています。市内には、エッフェル塔や凱旋門といった定番の観光名所だけでなく、あまり知られていない美しいアール・デコ建築が街の随所に点在しています。この記事では、パリで見過ごされがちなアール・デコの隠れた名建築を取り上げ、その洗練された魅力と芸術性に迫ります。
背景
アール・デコとは何か
アール・デコは、1920年代から1930年代にかけてヨーロッパを中心に流行したデザイン様式です。幾何学的なフォルムや対称的な構図、そして大胆で洗練された色使いが特徴で、当時のパリでは建築や家具、インテリアに至るまで幅広く取り入れられました。このスタイルは、モダニズムの機能性と装飾芸術の華やかさを見事に融合させたもので、今なお多くの人々を魅了し続けています。
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サン・ジェルマン・デ・プレ地区
サン・ジェルマン・デ・プレ地区には、アール・デコ期の影響を受けた建築やカフェが点在しています。なかでも有名なのが、19世紀後半に創業した老舗「カフェ・ド・フロール」です。1920〜30年代には、ジャン=ポール・サルトルやシモーヌ・ド・ボーヴォワールをはじめとする知識人や芸術家たちが集い、当時の文化的サロンとして栄えました。店内には、アール・デコ様式を感じさせるクラシカルな装飾が施されており、往時のパリのエスプリを今に伝えています。
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ポルト・ドレ宮殿
バスティーユからほど近い場所にある「ポルト・ドレ宮殿」は、パリに残るアール・デコ建築の傑作のひとつです。1931年のパリ植民地博覧会のために建てられたこの建物は、建築家アルベール・ラパンによって設計されました。壮大な石造りのファサードを飾るレリーフ装飾は、彫刻家アルフレッド・ジャニオの手によるもので、その精緻さと力強さは訪れる人を圧倒します。現在は「国立移民史博物館」として一般公開されており、芸術と歴史が融合する空間として知られています。
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アール・デコ建築を見る際のポイント
パリでアール・デコ建築を鑑賞する際は、細部にもぜひ目を向けてみましょう。ドアノブや窓枠、照明など、一見すると目立たない部分にまで、職人たちのこだわりと独創的なデザインが息づいています。建物全体の美しさだけでなく、その周囲の街並みや装飾との調和にも注目すれば、新たな発見があることでしょう。 このように、パリにはまだ多くの隠れたアール・デコの宝石が点在しています。それぞれが異なる魅力と物語を持ち、訪れる人の感性を刺激します。散策を通じて、自分だけの"パリのアール・デコ"を見つけてみてください。